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【特別養護老人ホーム】75歳人口1000人当たりで最多は

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 脳卒中に関連して重要さが増すのが介護施設。重い後遺症が残り、そのまま要介護になってしまうケースが少なくないからです。しかも脳卒中が引き金となって、認知症を発症することも珍しくありません。いまや現役中高年にとって、親の介護は避けては通れない試練。それをサポートしてくれるのが介護施設というわけです。

 とりわけ“特別養護老人ホーム(特養)に入れるかどうか”が運命の分かれ道という場合が多いはず。要介護3以上の老人を、長期にわたって(亡くなるまで)、しかも比較的安価に預かってくれるからです。

 厚労省の統計によれば、2013年の時点で、全国に6212施設、収容定員は約45万人となっています。ただし、圧倒的に不足しているのはご存じのとおり。要介護が増える75歳人口1000人当たり、28.2人分しか用意されていない計算になります。しかも、都道府県でかなりの差があります。最も多いのが福井県の38.1、最低が愛知県の23.2。その差は1.6倍です。表には首都圏、関西圏、中京圏の各県の数字をまとめておきました。

 まず、各施設で入所申し込みを行います。するとケアマネジャーが本人宅を訪問し、入所が妥当かどうかの調査書を作成します。さらに、地域の介護関係者で構成される入所調整委員会が、調査書をもとに優先順位を付けます。この順位にしたがって待機リストに登録されるのですが、後からもっと優先度の高い人が来れば、追い抜かれるケースもあります。

 特養には越境入所が認められています。たとえば、東京都の老人が、他県の施設に入ることが可能です。しかし実際には、現地のケアマネジャーが調査を行いますから、少なくともそのときは本人がその場にいる必要があります。また当然、地元住民を優先させる傾向が強く出ます。越境入所もかなり厳しいのが現実です。

 介護保険が適用になりますが、居住費(家賃・水道光熱費)や食費などは全額本人負担です。そのため、施設によって料金に差が出ます。また最近は、各施設とも個室を増やすなどして、入所者の単価を上げる工夫をしています。都会の金払いのいい入居者なら大歓迎という施設が、地方には増えているともいわれています。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。