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貧富の差拡大の余波指摘も 米の平均寿命が22年ぶりに低下

 国立健康統計センターが先日、米国人の最新の平均寿命を発表しました。それによると、2015年の平均寿命は78.8歳。前年より0.1歳短くなっており、国民の間に驚きが広がっています。なぜなら、平均寿命は国の医療・衛生水準とともに上昇するとされているから。1993年に平均寿命が下がった時は、エイズの蔓延で死者が増えたことが原因でした。

 では、今回は何が関係しているのか? 死因1位の心臓疾患の死者数は増えているものの、その数はわずか。2位のがんに至っては死者数が減っており、どちらも無関係と考えられます。

 平均寿命と関係しているとみられているのが、死因4位の事故死(交通事故やドラッグ過剰摂取など)、6位のアルツハイマー病、10位の自殺です。特に、ドラッグやアルコールの過剰摂取、自殺は「絶望死」とも呼ばれ、関係が深いとされています。

 さらに、指摘されているのが「貧富の差の拡大」です。米国では、少数の富裕層がますます豊かになる一方で、貧困層が増え、大きな社会問題となっています。この貧富の差と平均寿命の関係を「ジャーナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエーション」が調査しました。

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シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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