独白 愉快な“病人”たち

大谷昭宏さん 病気で「死」に対する心持ちが変わった

ジャーナリストの大谷昭宏さん(C)日刊ゲンダイ

 私がそれを知ったのは秘書からのメール。お昼の生番組の直前、「病院から“がんかもしれない”と連絡があった」との内容でした。そのときの印象は「あ、そうか」という程度。いつものように番組を終えて、病院に電話を入れました。それが6月の初めだったと思います。

「肝内胆管がんの疑い」を告げられ、大阪大学医学部付属病院を受診したのは6月12日。7月には各分野の専門医がチームを組んでの検査入院をしました。この病気は、肝臓の中にある胆汁を運ぶ管にできる悪性腫瘍。でも、結局のところ疑いは最後まで疑いのままでよく分からなかったんです。「開けてみてがんだったら当たり、がんじゃなかったらごめんなさい」ということだったんですけれど、腫瘍があることは間違いなく、「今なら手術で切れる」といわれたので切ることにしました。

 胆管がんは「切れれば助かる」と聞いていました。切れない場合は極めて危険な状態です。医師に「まれなほどの早期発見」と言われながらも、手術は肝臓の27%切除。その後、抗がん剤治療もありました。「症例が少ない病気なので臨床に協力してほしい」とのことで、抽選で、点滴ではなく飲み薬の抗がん剤を3週間飲んで2週間休むという繰り返しを半年間やってデータを取りました。

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