実は夏より断然クサイ 「冬の体臭」は4つの対策で防ぐ

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 外出先でコートや靴を脱いだ途端、強烈な脇汗やすえた“ニオイ”が放たれる。周りが顔をしかめるなか、恥ずかしさで身の縮む思いをした――。冬になると誰しも一度や二度、こうした経験をするものだ。なぜ、冬は臭いがこもるのか? どうすればいいのか?臭い治療の第一人者で「五味クリニック」(東京・大久保)の五味常明院長に聞いた。

「臭いの主な原因は汗ですが、冬の汗は夏と質が違います。そのうえ、冬特有の食生活や服装がいやな臭いに拍車をかけているのです」

 冬は汗のイメージがないが、体温を保つため基礎代謝が上がり、暖房や運動などちょっとした刺激で汗をかく。ただし、絶えず全身で汗をかく夏と違い、脇や足の裏など部分汗が中心だ。

「汗の原料は血液で、血液成分であるミネラル分が含まれます。汗を出す汗腺はこれらの成分を血液に戻す『再吸収』の働きがあります。ところが冬は一部の汗腺しか使われず、そこに負担がかかるため、血液成分が十分再吸収できない。結果、ミネラル分を含んだベトベトの汗になります。それが蒸発せず、皮膚にとどまることで細菌を増殖させ、悪臭になるのです」

 しかも、冬は暴飲暴食になりがち。ごはんやお餅などの糖質のほかに、肉などのタンパク質やチーズ、バターといった乳製品を使った脂っぽい料理を食べたり、お酒を飲む機会が多い。これらを体内で分解するときに疲労物質である乳酸やアンモニアなどの臭い成分が大量に発生する。

「アンモニアは肝臓で解毒されます。ところがお酒を飲むとアルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドが肝機能を低下させてしまい、臭いがきつくなるのです」

■下着は通気性を重視

 寒さで血行不良になると、細胞は酸素を使わずにエネルギーを得る嫌気性解糖を行う。このとき副産物として乳酸やアンモニアが発生し、これらが汗となって排泄されて悪臭に拍車がかかる。

 保温性重視で通気性の悪い服装も強烈な臭いを放つ温床になる。

「ヒートテックの下着などがその典型で、脇汗などが体から蒸発しにくくなるため、臭いがこもってしまうのです。そのため、上着を脱いだ途端にモワッとした臭いが周囲に漂うのです」

 厚手の靴下や革靴だと単に蒸れて臭いが出るだけでなく、足裏の角質がエサになり、細菌が増殖し、臭いが強くなる。

「不安や緊張があると精神性発汗により一気に汗が出ます。冬場はこれが悪臭の原因になります。脇や足の裏など、冬場でも働いている一部の汗腺に負担がかかり、処理されなかったミネラルが汗と共に体表面に出てくるからです」

 では、これらの臭いを防ぐには何をすればいいのだろうか?

■食事

「まず暴飲暴食を改め、発汗作用のある肉類や鍋物などカロリーの高い食品を避け、お酒を控えることです。食事の際は積極的にお酢を取りましょう。お酢に含まれるクエン酸は体内の乳酸に反応して水と炭酸ガスに分解してくれます。しじみ汁など肝機能を高める食事をするのも体臭を軽減するのに役立ちます」

■服装

 直接肌に触れる下着を通気性の良いものに変え、汗を蒸発させることが臭い対策になる。

「消臭機能性下着など保温性と通気性、速乾性に優れた機能性下着が販売されています」

 コートや上着は消臭スプレーを使うのはもちろんだが、室内に入る前に玄関で脱ぎ、こもった臭いを発散させる気遣いも必要だ。

■入浴

 長湯で全身で汗をかくのも冬場の臭い対策には有効だ。

「全身の汗腺を鍛えることで、汗に含まれる血液成分の再吸収を増やしていければ臭いを生みにくくなります」

■足裏

 とくに蒸れやすく臭いが出やすい足の裏には直接塗れる制汗剤を使い、靴は1日履くごとに2日程度は風通しの良い場所で陰干しする。

 ストレスを感じない、自分の足のサイズに合った靴を選ぶのは言うまでもない。

 これであなたも冬の悪臭とオサラバできる?

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