米130万人調査で判明 女医にかかる方が死亡率低い不思議

この人は女医を演じる女優…
この人は女医を演じる女優…(C)日刊ゲンダイ

 女医の方がウデがいい――。昨年12月、「女医が担当した入院患者は、男性医師が担当するよりも死亡率が低い」という驚きの調査結果が米国で発表された。「ハーバード公衆衛生大学院」の研究員・津川友介氏が論文として発表した。

 調査は、肺炎や心疾患などで内科に入院した米国の65歳以上の高齢者130万人が対象。入院してから30日以内の死亡率は、女医の担当患者では11.1%、男性医師は11.5%で女医が0.4ポイント低い。また、退院してから30日以内に再び入院する再入院率も、女医が15.0%、男性医師が15.6%だった。この差は偶然や誤差では説明がつかない“有意差”だとしている。

 医学博士の米山公啓氏はこう言う。

「調査はサンプル数も多く、信憑性は高いと思います。死亡率が0.4ポイント低いというのは決して小さくない差です。個人的には、女医の方が、科学的、論理的な思考で、男性の医者は直感的という印象があります。その違いが死亡率の差に表れているのでしょうか。ただ、なぜ女医の方が死亡率が低いのか、今回の調査だけでは、要因の特定は難しいでしょう」

 患者が接しやすいからか、女医は病状の把握がうまいのかもしれない。入院する時は、ぜひ女医にかかりたくなる結果だが、日本では女医はまだ圧倒的に少ない。医学部の男女比は1:1に近づきつつあるが、女医の割合はわずか2割。せっかく医学部を出ても、医者として働く女性は少ない。だからか、医療現場に“残っている”女医は、腕がいい可能性が高いらしい。

「医学部卒業後、女医になっても、結婚、出産、子育てで離職することもあるうえ、医者の世界はまだまだ男社会のため、女性ということでいじめられたり、男性中心の流儀についていけないケースも多い。それに、患者の方にも“女医は頼りない”という偏見があって、男性の医者にかかりたがる人も少なくありません。2割の女医はそうした境遇に打ち勝ってきた方です。ですから、女医と接していて、“精神的な強さ”を感じることはこれまでもありました。今回の調査結果で、医療技術も男性より上ということになりますね」(米山公啓氏)

 もっと女医が増えてほしい。

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