数字が語る医療の真実

マンモグラフィーの乳がん死に対する効果の本当のところ

 また乳がん死亡に対する効果を「比」でなく「差」で見ると、検診群0.34%、検診を受けない群0.33%でした。その差は0.01ポイントに過ぎないことが分かります。

 質の高い研究をまとめた結果と、質の高いものを含めた結果のどちらが妥当かといえば、前者が妥当というのが普通の考え方でしょう。マンモグラフィーによる乳がん死亡に対する効果は、仮にあるとしても、皆さんが期待する効果よりかなり小さいということは、はっきりしているように思われます。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。