治療の第一人者が語る 「脱・薬物依存」最新プログラム

高知東生は2016年6月に逮捕された(C)日刊ゲンダイ

■7~8回の大失敗は対回復へのアプローチ

 松本部長が2006年に開発したプログラムが「SMARPP(スマープ)」だ。週1回、精神科医などのスタッフと患者がグループになり、薬物への欲求をコントロールする方法を学ぶ。

 毎回尿検査をするが、薬物反応が出ても患者を責めない。警察には通報せず、自首も勧めない。参加を歓迎し、欠席者には「来てくださいね」とスタッフがメールを送る。これによって、初診から3カ月間の治療継続率は9割以上に伸びた。スマープ不参加群は6割以下なので、かなりの差だ。

「薬物依存の患者さんは、通報への恐怖などから誰にも相談できない。その孤立化が一層、薬物使用へ走らせる。スマープで安心して何でも話せる場を得て、薬物をやめるきっかけをつかんでもらうのが狙いです」

 スマープ終了後は、薬物依存から回復した当事者たちのリハビリ施設や自助グループで、クスリを使える環境でもクスリを使い続けない方法を学ぶ。

3 / 4 ページ

関連記事