役に立つオモシロ医学論文

「ポケモンGO」をプレーすると歩行時間はどうなるのか

禁止の場所もあるが…
禁止の場所もあるが…(C)日刊ゲンダイ

 スマートフォン向けゲームアプリの「ポケモンGO」を楽しんだ方は大勢いらっしゃるでしょう。位置情報を活用することにより、現実世界そのものを舞台として、ポケモン(ゲームに登場する架空の生物)を捕まえたり、バトルしたりするなどの体験ができるあのゲームです。現実世界を実際に歩きながら進めるため、屋外を歩く機会が増え、それによって身体活動が増し、健康的な生活習慣が得られるのではないかとの期待もありました。

 そんな中、英国医師会誌の2016年クリスマス特集号に、ポケモンGOをインストールして実際にプレーした人と、プレーしなかった人で歩数にどれくらい差があるのかを検討した論文が掲載されました。

 この研究はオンライン調査のデータを用いたもので、18~35歳の米国在住者で、iPhone6シリーズを使用している1182人が解析の対象となりました。解析対象者のうち実際にポケモンGOをプレーしていたのは560人(平均25.6歳)、プレーしていなかったのは622人(平均27.3歳)でした。

 ポケモンGOをプレーした人たちでは、ゲームをインストールする前の4週間における平均歩数は4256歩。それがゲームをインストール後、最初の1週間においては、プレーしなかった人に比べて1日の平均歩数が955歩増加しました。

 ところが、その後5週の間に歩数の増加は徐々に減少していき、インストール後6週間目ではプレーしなかった人たちとほぼ同等の歩数になってしまいました。

 インストール直後の歩数増加は歩行時間に換算すると11分程度であり、それも6週後にはその効果も消失してしまうという結果になっています。

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。