大都市圏なんでも健康ランキング

急性心筋梗塞死亡率 東海では三重県が全国平均より2割高い

三重県志摩市
三重県志摩市(C)日刊ゲンダイ

 東海三県(愛知県・岐阜県・三重県)は、急性心筋梗塞で亡くなるリスクがさほど高くありません。とくに愛知県は全国平均よりも低めになっています。域内の急性心筋梗塞の標準化死亡リスク(男性)ワースト10とベスト10を〈別表〉にまとめました。標準化死亡リスクは年によって変動しますが、数字は2008~12年の5年間の平均値です。また町村は人口が少なく、誤差が大きいため除いています。

 ワースト10の多くが、三重県中部や南部の自治体で占められています。三重県全体の数字は118.3。全国平均と比べて約2割、急性心筋梗塞で亡くなるリスクが高いことを意味しています。しかし四日市市や鈴鹿市など、北部の自治体の数字は100を切っています。これは、名古屋に通勤する人が多いからかもしれません。仕事中に心筋梗塞に襲われても、市内に大病院が揃っているため、救命率が高くなるからです。

 一方、津市より南は、数字がかなり悪くなっています。名古屋まで通勤するには遠すぎるうえに、有力病院が少ないことが最大の要因と思われます。

■南部ほど高くなる

 愛知県全体の数字は94.1。心筋梗塞で亡くなるリスクが低い県の一角に入っています。名古屋市内の数字が低い(90.1)のは当然か。それ以外で特に目立つのが、日進市、長久手市、みよし市など、名古屋市と豊田市に挟まれたエリアです。2つの大学病院(愛知医科大学・藤田保健衛生大学)の存在が大きいのかもしれません。

 しかし、これより南側の東海市、碧南市、西尾市などと、渥美半島と知多半島の数字が高め。つまり三河湾をぐるっと囲む地域が、ハイリスクになっているのです。

 岐阜県全体の数字は103.1と、全国平均並みです。全国平均に一番近いのは長野県(100.1)、2位が石川県(102.2)で、岐阜県は3位です。その中で美濃加茂市だけが突出して高い数字を示しています。近隣の自治体の数字はさほど悪くないので、理由がよく分かりません。

 美濃市から大垣市に至る中濃・西濃地域は、心筋梗塞で亡くなるリスクが全国平均のほぼ半分から8割程度。ただ、県内の大病院が集まる岐阜市は100.1で、全国平均と同じ。羽島市はかなりハイリスクになっています。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。