長寿のもと? 従来の悪玉「ケトン体」なぜ注目されている

脂肪を分解してエネルギーをつくるときの副産物が「ケトン体」/(C)日刊ゲンダイ

 ケトン体の利点はそれだけじゃない。脳神経のエネルギー代謝を改善し、活性酸素や炎症から神経細胞を保護する作用もある。既にてんかんの治療法として体内のケトン体をあえて高い状態に保つ「ケトン食」が使われているが、アルツハイマー病やパーキンソン病などの脳神経細胞障害の抑制にも有効であるとの報告が上がってきている。

「ケトン体が健康・長寿のもとになる可能性も囁かれています。基礎医学の分野では、ケトン体の一種がエネルギー制限による寿命の延長をもたらすメカニズムに関係しているとカリフォルニア大学の研究グループが報告しています」

 ケトン体にはアセト酢酸、β─ヒドロキシ酪酸、アセトンの3種類あり、アセトンは呼気に排泄されるが、アセト酢酸とβ─ヒドロキシ酪酸はエネルギー源として使われる。最近の研究ではβ─ヒドロキシ酪酸は、寿命の制御に関係しているヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)を阻害し、酸化ストレスの耐性遺伝子の発現を促し、酸化ストレスを抑制することがわかっているという。

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