長寿のもと? 従来の悪玉「ケトン体」なぜ注目されている

脂肪を分解してエネルギーをつくるときの副産物が「ケトン体」/(C)日刊ゲンダイ

 ならば、体の中のケトン体を増やす食事や薬を取ることが健康につながるのか?

「それほど単純なものではありません。糖尿病の人がケトン体を増やすと昏睡や意識障害などケトアシドーシスと呼ばれる状態になるのは変わりません。体の中のケトン体を増やすには絶食、糖質制限などによるケトン食、SGLT2阻害薬のような薬など、さまざまな方法がありますが、どの方法がいいのか、どれだけケトン体を増やせばいいのか、どういう体の状態のときに増やすといいのかなど、不明な点が多く残されています。現時点では、昔は単純に悪者だったケトン体が体に保護的に働く可能性もあることを知っておくだけでよく、ケトン体を増やそうと自ら実践するのは効果や安全性が確かめられてからで十分です。医師の指示でSGLT2阻害薬やケトン体食が処方された場合のみ慎重に従ってください」

 こうした情報は人目を引くため、さみだれ式に流れてくるだろうが、先走ってはいけない。あくまでも研究段階。自らの体を危険にさらして試すことはないだろう。

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