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首都圏の2次医療圏CCU数 都下の西多摩はゼロ

(C)日刊ゲンダイ

 心臓病患者に対して圧倒的に少ないCCU(冠疾患集中治療室)。多くは首都圏をはじめとする大都市圏に集中しています。今回は2次医療圏別のCCU数を調べてみましょう。

 厚労省は医療政策を立案・実施するうえで、各都道府県を5~10地域に分割しています。それが「2次医療圏」と呼ばれるもので、そのなかで地域住民の医療ニーズを賄うのが建前です。

 急性心筋梗塞をはじめとする心臓病の大半も、2次医療圏単位で医療体制を整備することになっています。

 表は首都圏のCCUが多い・少ない2次医療圏をまとめたものです。まず東京都ですが、全部で265床を有しています。しかし、そのうちの225床は都内(区部)に集中しているのです。都下にはたった40床しかありません。1位は区中央部医療圏。ここには千代田区、中央区、港区、文京区、台東区が属しています。実はこのエリア、日本最大の大学病院激戦地なのです。東大、東京医科歯科大、順天堂大、日本医大、日大、東京慈恵会医大の6大学が、大学病院(本院)を構えています。それに加えて、聖路加国際病院をはじめとする有名病院が目白押し。1位になるのも当然でしょう。

 一方、都下の西多摩医療圏にはCCUがまったくありません。北多摩西部も2床を有するだけ。同じ東京都でも、医療体制には大きな格差があるというわけです。都下に住んでいるサラリーマンの多くは、都心に通勤しています。仕事中に心筋梗塞に襲われたほうが、助かる率が少しだけ高いのかもしれません。

■神奈川西部は空白地帯

 神奈川県には合計77床ありますが、横浜市全体で20床、川崎市全体で19床など、適度にばらけています。ただし県の西側半分は、ほとんど空白地帯になっています。

 千葉県も合計77床を有しています。その大半が千葉市と、江戸川を挟んで東京都と接するエリアに集中しています。東京都から離れるにしたがって、急激に減ってしまいます。それでも房総半島の先端に位置する安房医療圏には、9床が用意されています。

 埼玉県は県央、利根、秩父がCCU空白地帯になっていますが、その他の医療圏にはほぼ均等に分布しています。その点では東京都よりも県内の医療格差が少ないと言えそうです。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。