クスリと正しく付き合う

節約しながら健康を守る

薬は病院で処方してもらう方が安い場合も
薬は病院で処方してもらう方が安い場合も(C)日刊ゲンダイ

 健康に長生きするには、「病気の予防」と「早期発見・早期治療」が重要です。そのためには、定期的な健診や初期症状(体調の変化)を見逃さない自己管理が必要です。ただ、これらをしっかり心がけていても、病院に行こうかどうしようか迷うケースもあると思います。そういった時には、病院に行く前に薬局で相談できることがあります。

 最近では、薬局で処方箋なしに購入できる一般医薬品の中で、「スイッチOTC」と呼ばれる「処方箋医薬品とまったく同じ成分の薬」も増えてきています。同じ成分の薬を病院で処方してもらった場合と薬局で購入した場合、どちらが安いか。痛み(頭痛、歯痛など)や発熱に用いられる「ロキソニン」(一般名‥ロキソプロフェン)を例にして考えてみましょう。

 ロキソニンは、通常は頓服や1週間以内の内服、長くても2週間程度飲むのが一般的な薬です。ロキソニン12錠の薬代は一般薬として薬局で買った場合は約700円、病院で処方してもらった場合は約240円、ジェネリックを選択した場合は約95円です。薬代だけを見ると、病院で処方してもらう方が460~605円安い計算です。

 しかし、病院で処方してもらう場合には、診察料、処方箋料、調剤料がかかるので、全体的に考えると薬局で購入する方が安い計算になります。また、一般医薬品の購入に対して税金の控除を受けられる「セルフメディケーション税制」という免税制度(医療控除特例)もあります。

 このような制度をうまく使えば、節約しながら健康を守ることができるケースがあるのです。病院に行く前に、まずは薬局で相談するのも賢い選択かもしれません。

神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。