視力低下も 松方弘樹さんが闘った「脳リンパ腫」のサイン

21日に亡くなった松方弘樹さん
21日に亡くなった松方弘樹さん(C)日刊ゲンダイ

 銀幕のスター、松方弘樹(74)が死去した。ヤクザを熱演し、釣りを楽しんだタフガイの死に諸行無常を感じた人も少なくないだろう。

 松方は昨年2月に「体全体がしびれる」「腕に力が入らない」と体調不良を訴えて病院で検査。「脳リンパ腫」と診断され、闘病生活を送っていたが、今月21日に亡くなった。

 どんな病気なのか。「脳腫瘍の一種です」と解説するのは医学博士の米山公啓氏だ。

「本来、リンパがない脳内にリンパ腫ができる原因不明の病気。考えられるのは体のどこかでリンパががんに侵されて脳に飛んできたか、何らかの理由で脳内にリンパが発生し、がんになったということですが、よく分かっていません。治療法は抗がん剤と放射線が中心。ただ、脳はクスリが内部に入り込まない仕組みになっているので抗がん剤は効きにくい。たいていは放射線治療を行います。放射線治療を続けると3~5年は生存できるものの、放射線で脳が縮んで認知症の症状が出ることもある。しかも根治は難しいのが現実。治療を受けないと半年ほどで死亡するといわれています。厄介な病気です」

 酒やたばこ、生活習慣病などが原因というわけではない。大抵はMRI検査やCT検査で発見されるそうだ。

「救いは脳卒中のように突然発作が起きたりしないこと。ゆっくり症状が出ます。数日や1週間くらい手足がしびれるとか、ごはんを食べるときに口からこぼす、ろれつが回らなくなるなどが前兆です。眼球を取り巻くブドウ膜が炎症することもあるため、急激に視力が低下したら、この病気を疑って医師の診断を受けてください」(米山公啓氏)

 60歳以上で免疫力が落ちている人が発症する可能性もあるという。

 日頃の健康管理が大切だ。

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