独白 愉快な“病人”たち

胃がん経験した横島亘さん 「患者は黙ってちゃいけない」

横島亘さん(C)日刊ゲンダイ

 だから、今言えることは「患者は勇気をもって自分の状態を伝えよ」ということです。わからないことはなんでも聞き、具合が悪いことは強めに訴えた方がいい。昔、“男は黙って○○ビール”なんてCMがありましたけど、患者は黙ってちゃいけません。

 あれから5年が経過しましたが、いまだに声は戻っていない気がします。術前のメタボ体形から15キロも痩せたせいもあるかもしれませんが、胃と一緒にリンパ節も取ったので免疫力がなく風邪をひきやすいし、声もかれやすいのでペース配分が必要です。

 ただ、くしくも次の舞台では、ホスピスで暮らすがん患者のひとりを演じます。痩せた外見を含め、少しは病気の経験が生きるのではないかと思います。

 病気して一番変わったことといえば、食事の速度です。食べちゃいけないものはありませんが、血糖値の急上昇がいけないので、ゆっくり食べるのが鉄則。順番も生野菜が先と決めています。以前、差し入れでいただいた小粒のあんこ菓子をパクッと食べたら、それだけでフラフラになりました。あと、ラーメンが大好きなんですけど、1杯食べるのに1時間ぐらいかけなくちゃいけないから、誰かを連れて行って半分ずつとか……。苦労してます(笑い)。

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