当事者たちが明かす「医療のウラ側」

激しい運動が負担になる スポーツマン心臓に気をつけろ

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ
都内の60代循環器科医師

 来月末の東京マラソンへ参加する人たちでしょうか? 最近、朝晩、寒い中を走っている姿を見かけます。

 中高年が体を動かすのはいいことですが、アスリート並みに激しい運動を続けるのは考えものです。激しい運動で心臓に負荷をかけ続けると、心臓の筋肉である心筋が厚くなり、心臓への負担がますます大きくなるからです。

 これは「スポーツマン心臓」と呼ばれるものです。心臓自体が大きくなった上で、心筋が厚くなるのであれば問題ありません。心臓の大きさは変わらず、心臓の筋肉だけが厚く重くなれば、拍動するたびに心臓の厚くて重い筋肉を動かさなければなりません。心臓への負担が大きくなるのは当たり前です。

「一生の心拍総数は決まっていて、この回数次第で寿命が長くなり、短くなる」との俗説があります。

 これはある程度は正しいと言えます。スポーツで心臓の筋肉が厚く重くなれば、心臓の老化が進むのは確かですから。

 では肥厚を防ぐにはどうしたらいいのでしょうか? それには激しい運動をして心臓に過度な負担をかけないことに尽きます。

 問題はこの「過激な運動」という中に一見、私たちには普通に見える運動が含まれていることです。例えば筋力トレーニングです。腕立て伏せやベンチプレスのような筋トレは、心臓に対して瞬間的に大きな負荷をかけるため、避けた方がよいのです。

 1月は心臓の病気を発症しやすい季節。あなたは大丈夫ですか?