医者も知らない医学の新常識

睡眠時間が長いと認知症になりやすいのか?

眠りの質の問題なのかも(C)日刊ゲンダイ

 しっかりと睡眠をとることは、健康を保つためには大切な生活習慣です。それではどのくらいの長さの睡眠が、最も健康的なのでしょうか?

 それについてはいろいろな意見があって、科学的には結論が出ていません。2016年の医学の専門誌に、「睡眠時間が長いと認知症の危険が高まる」というちょっとショッキングな結果が報告されました。これは、それまでに発表された多くの論文のデータをまとめて分析したものですが、「睡眠時間が8時間を超えるような人は、短い人より40%以上認知症になる危険性が高かった」という結果になっています。

 ただ、これは長く眠る習慣が良くないというよりは、眠りの質の問題なのかもしれません。認知症では睡眠の異常が起こることがあり、夜しっかり眠っているのに、昼間の眠気が強くなることがあります。また、一部の認知症では、眠っている時に夢を見ながら体が動いてしまうことがあり、その症状は認知症が分かるずっと前から、起こっているといわれています。

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石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。