急性心筋梗塞でいざ胸骨圧迫! 専門医がポイントを解説

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

■迷いや遠慮はいらない

 胸部を圧迫する深さとテンポについては、次の点に注意する。

「洋服を着せたままでいいので、傷病者の胸が5センチ以上、6センチを超えない程度で強く押します。圧迫する深さが足りないと、十分な効果は得られません。1分間に100~120回ぐらいのテンポで行ってください」(鈴木准教授)

 仮に傷病者がペースメーカーを装着していたり、子どもであったりしても、圧迫する力は遠慮しない。

 とにかく胸骨の圧迫による心臓マッサージは、救急隊員が到着するまで休まずに続けることだ。もし周りに人がいたら1~2分程度で交代し、救急車が到着するまで続けること。

「胸骨が折れることを心配して、力を入れない人がいますが、緊急事態です。遠慮はいりません。骨は折れても元に戻せますが、心臓が止まればおしまいです。一般人が心肺蘇生しなかった場合の1カ月後の社会復帰率は4.3%に対し、実施した場合は10.8%と2倍以上という統計もあります。また、AED(自動体外式除細動器)の使用もためらってはいけません。救急隊員が電気ショックを行った場合の1カ月後の社会復帰率は18.9%に対し、一般人の場合は43.3%にも達します」(鈴木准教授)

 急性心筋梗塞患者の多くは50代以上と中高年が多い。多死社会の日本だからこそ、心肺蘇生は誰もが知っておくべきだ。

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