当事者たちが明かす「医療のウラ側」

低血糖に「アメ」は即効性なし

チョコレートも吸収に時間がかかる
チョコレートも吸収に時間がかかる(C)日刊ゲンダイ

 厚労省の平成26年「患者調査」によると、糖尿病の患者数は316万6000人。全人口の60%以上が運転免許保有者ということを考えると、かなりの数の糖尿病の患者さんが運転免許を保有していることになります。

 糖尿病患者さんの運転が怖いのは、運転途中に低血糖で意識を失い、事故を起こしてしまうこと。実際、糖尿病が原因のひとつとみられる事故は少なくなく、2013年6月の改正道路交通法施行で、公安委員会が一定の病気(無自覚性の低血糖を含む)の症状などを質問することが可能になり、運転に支障がある症状を虚偽申告した人に対して罰則が規定されるようになりました。

 そんなことから、突然の低血糖に備えて、血糖値を急速に上げられるよう、「チョコレート」「氷砂糖」「アメ玉」を持ち歩いている、経口血糖降下剤やインスリン製剤を使用している患者さんがおられます。これは本当に有効なのでしょうか?

■ジュースも効くとは限らない

 実は、これらは吸収に時間がかかるため、適していないといわれています。たとえばアメは二糖類で、腸から吸収できる単糖類に分解するまでに時間がかかるうえ、口の中で溶けるまでにも時間がかかるため、緊急時に役に立たないといわれているのです。

 今は、吸収が速やかに行われる即効性のある「ブドウ糖」が市販されています。これらを使用するのがいいとされています。

 といっても、「持ち運びができるのか?」「のどに詰まったりしないのか?」などと疑問を持つ方もおられるはずです。これらのブドウ糖は「粉」「トローチ」「液体」など、さまざまな形のものがあるので、その人に合ったものを選ぶことができます。

 ちなみに、「低血糖になったら、市販のジュースを飲めばいい」と思っている患者さんもおられますが、最近は健康志向から、「糖質ゼロ」の飲み物も多い。安全・確実なブドウ糖を持ち歩くようにした方がいいと思います。