たった1滴の唾液検査で膵臓がんの早期発見が可能になる

唾液による検査風景(C)日刊ゲンダイ

 消化器外科医の砂村医師は東北大准教授時代に膵臓がんを専門にし、がんの遺伝子異常なども研究してきた。2006年、大学を辞めて東京の地域医療を始めたが、東京医大の医師から引き続き研究することを勧められ再開したという。

「がんの遺伝子やタンパク質の研究をやっていましたが、お金も手間もかかって実際、臨床現場には応用できませんでした。それで、簡単に採取できてコストもかからない体の代謝物質に目をつけたのです。慶応大の杉本昌弘先生と研究を始めたところ、唾液中からのものが最もきれいに解析でき、膵臓がんの診断に使える代謝物質が発見できたのです。偶然の発見で目からウロコでした」

 唾液検査は、プラスチックのチューブ容器にストローを使って唾液を1滴(0.2~0.4㏄)垂らすだけ。それをマイナス80度で保管し、山形県鶴岡市にあるサリバテック社の研究所衛生検査所に送って解析をする。

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