風邪で「葛根湯」 効く人・効かない人の違いを医師が解説

体質が効き目を左右する(C)日刊ゲンダイ

 葛根湯は7つの生薬(葛根、麻黄、桂皮、生姜、芍薬、甘草、大棗)で成り立っている。そのうちの麻黄がセットポイントの上昇に伴い体温をより上昇させる。そして桂皮と生姜がセットポイントを下げ、発汗や解熱をきたし、平熱に戻しやすくする。

「体力があり、暑がりの人は代謝が良く、『発熱でウイルスを殺す』といった免疫システムが強く働き、そこに葛根湯が加わることで、2日ほどで風邪が治るのです」

 さらに最近の研究では、①インターロイキン-1αを抑制②インターロイキン12とインターフェロン-γを誘導――の2つの働きも分かっている。①で細胞内でのウイルスの増殖を抑制し、②で免疫力を高める。

 葛根湯が効かない人には、小青竜湯や麻黄附子細辛湯が向いている。たとえば、くしゃみや鼻水が強ければ小青竜湯、冷えがあり咽頭痛があるなら麻黄附子細辛湯といった具合だ。

「ただし、風邪への処方は、漢方薬の中でも極めて難しいとされています。急性疾患なので、その時々の体質の見極めが非常に重要だからです。葛根湯が効かないタイプの人は、漢方薬の専門医に相談するべき。できれば風邪をひく前から、自身の体質を知っておいた方がいいでしょう」

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