それから10年が経ち、それでもがんの死亡者数は増えてきています。この計画は無効だったのでしょうか? そうではありません。“中身”を見ればそれがわかります。
①「75歳未満のがん患者の年齢調整死亡率を10年間で20%減らす」とした目標は、17%減まで達成できています。20%減のために掲げた「喫煙者の半減」と「検診率50%達成」はいずれも到達できていませんが、それでも75歳未満の死亡率は減っているのです。では、なぜ死者数は増えているのでしょうか。実は、この10年間で75歳以上の人口が急激に増え続けたことによって75歳以上のがん死亡者が増え、結果としてがん全体の死亡者の増加となったのです。
たとえば、全国の約10分の1の人口を占める東京都では、2014年のがん死亡者の56.8%が75歳以上です。国や都道府県などでのがん対策は、75歳未満ではある程度功を奏してきたのですが、超高齢社会となって、全体のがん死亡者は増えてきた結果となったのです。
がんと向き合い生きていく