当事者たちが明かす「医療のウラ側」

イソジンガーグルは口腔ケアに有効か?

写真はイメージ
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 自宅で寝たきりの高齢者をみている方も多いと思います。介護する家族のご苦労は大変なものですが、患者さんに元気に過ごしてもらうためには「口腔ケア」も欠かせません。虫歯や歯周病の予防はもちろん、誤嚥性肺炎の予防に大きな効果を発揮するからです。

 寝たきりの方の口腔ケアは、粘膜に使用できる「イソジンガーグル」によるものが一般的です。しかし最近は、イソジンガーグルだけでは不十分だということで、ブラッシングに力を入れた口腔ケアが行われるようになっています。

 歯に取りついた虫歯や歯周病菌は、歯の表面で増殖して強固なバリアを持つバイオフィルムを形成します。そのため、消毒液や抗菌薬はバイオフィルムに阻まれ、虫歯や歯周病の菌に対して十分な効果を発揮できません。そのため、ブラッシングによる機械的な洗浄でバリアを破壊する必要があるのです。

 しかも、イソジンガーグルはエタノールを含んでいるため、脱水作用によって口の中を乾燥させやすくなります。口から食事を取っていない患者さんは、唾液の分泌量がとくに少ないので要注意です。口の中が乾燥すると菌の増殖が激しく、口の中の粘膜も傷付きやすくなります。

 口腔ケアはブラッシング、洗口、粘膜ケア+保湿が基本です。誤嚥しないよう、絞って水分を減らしたスポンジブラシや歯磨きなどを使って歯を磨いた後、うがいをしてもらいます。このとき、水分と一緒に口腔細菌を一緒に誤嚥してしまうと、誤嚥性肺炎になりかねません。そのため、うがいをするときは患者さんの頭部をヘッドアップ30度ほどにして、左右どちらかに傾けてうがいをしてもらいます。

 イソジンガーグルの代わりに紅茶の茶カテキンを使っている医療機関もあるので、検討してもいいかもしれません。