専門家に聞く 末期前立腺がん新治療「ゾーフィゴ」の威力

JCHO東京新宿メディカルセンターの黒崎弘正氏(C)日刊ゲンダイ

 70歳代のAさんは5年前に「末期の前立腺がん」と診断された。当時のPSA値は150.4で、前立腺に接する組織にがんが浸潤、リンパ節への転移が確認された。その後、ホルモン療法や「ドセタキセル」による抗がん剤治療などで懸命に延命治療を続けてきたが、PSA値が6.98と上昇してきたため、昨年8月にゾーフィゴ治療をスタート。4カ月半後にはPSA値が3.27にまで下がったという。

「この患者さんはゾーフィゴ投与の3年前から骨病変治療薬であるデノスマブと、低用量ステロイドのプレドニンを継続投与していますが、これまでの経過からゾーフィゴ投与がPSA値を下げたのは明らかです」

■鎮痛+延命効果

 ゾーフィゴはα線と呼ばれる放射線を出す「ラジウム-223」を含む放射線医薬品。ラジウム-223は骨に集まりやすく、注射で体内に投与すると多くはがんの骨転移巣に運ばれる。そこから放出されるα線によって、骨に転移したがんの増殖を抑える。

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