実は違う病気かも? 花粉症「薬が効かない」5つの理由

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 花粉症だと思っていたら、実は違う病気だったというケースも珍しくない。日本医大耳鼻咽喉科・大久保公裕教授に聞いた。

 花粉症の薬を飲んでいるのにちっとも効かない。そう思っている人は、次の可能性をチェックするべきだ。

①本当に花粉症か?

 クシャミ、鼻水、鼻詰まりは花粉症に限ったものではない。ただ、同様の症状を呈する風邪は、喉のイガイガ、せき、熱っぽさなどもあるうえ、放っておいても1~2週間程度で治まるので、間違えることは少ないだろう。

 しかし、花粉症と風邪を併発していたら、気づきにくい。また、鼻水が長引く場合、慢性副鼻腔炎と混同しているケースもある。慢性副鼻腔炎は、鼻水に黄色い色がついている。

②本当にスギ花粉症か?

「花粉症はアレルギー性鼻炎の一種。アレルギー性鼻炎を引き起こすアレルゲンはさまざまです。クシャミ、鼻水の原因はスギではなく、ダニなどのハウスダストではないか? スギ以外のアレルゲンにも反応しているのではないか? もしそうなら、スギ花粉の期間だけでは症状は抑えられません」

 アレルゲンは検査をしないと分からない。アレルギー性鼻炎を積極的に診ている耳鼻咽喉科で調べた方がいい。

■鼻詰まりに抗ヒスタミン薬はNG

③薬の使い方を間違えていないか?

 薬は症状に合わせて使い分けるのが基本だ。しかし、これが意外にできていない。

「たとえば、クシャミ、鼻水、鼻詰まりとすべてつらければ、鼻噴霧用ステロイドが最もいい。鼻水がひどければ抗ヒスタミン薬、鼻詰まりがひどければ、ロイコトリエン拮抗薬か鼻噴霧用ステロイドの両方です」

 市販薬を利用するにしても、花粉症の薬を買う時は薬剤師に最もつらい症状を話し、適切なものを選んでもらう。何も考えずに買った場合、抗ヒスタミン薬を手に取る可能性が非常に高いからだ。抗ヒスタミン薬の市場シェアは、鼻噴霧用ステロイドやロイコトリエン拮抗薬を圧倒的に抑えて抜群に高い。ところが、抗ヒスタミン薬は鼻詰まりには効きが悪い。

「薬の効き目が悪い時は、量を増やさず、別の薬を加える。量を増やせば、眠気などの副作用が出やすくなります」

 花粉症は、目のかゆみもつらい。あまり強くない目のかゆみなら、鼻噴霧用ステロイドが効く。鼻噴霧用ステロイドを使ってもかゆみが治まらなければ、眼科を受診するべき。

④飲み始めが遅すぎないか?

 花粉症の薬はシーズンの初期に飲み始める。すぐに効かないからだ。

「抗ヒスタミン薬は比較的早めに効果を発揮しますが、ロイコトリエン拮抗薬は効果が表れるまで数日間かかります。クシャミ、鼻水、鼻詰まりに効くケミカルメディエーター遊離抑制薬やTh2サイトカイン阻害薬なら、効果が出るまで1週間程度と考えた方がいいでしょう」

⑤免疫療法を検討するタイミングではないか?

「薬は正しく使えば100%の人に効きますが、症状は10%抑えられる程度です。花粉症の治療として2014年に保険承認された舌下免疫療法は、治療を受けた人の70~80%の人が効かず、しかし症状の抑制は30~40%と高い。症状が強く、年代も若めなら、免疫療法を始めるのも手です」

 今年中には、5歳以上から免疫療法が保険適用になる見込み(現在は12歳以上)。

 免疫療法は最低2年、理想は3~5年かかるので、途中で挫折しないように、家族一緒に受けることを大久保医師はすすめている。

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