白衣を着ている時の自分とは違って、いよいよ検査するとなると、すっかり患者になっています。「つらい時は手で合図してくださいね」「はい、ごっくん、ごっくんして。はい、上手ですよ……」といった内視鏡医や看護師さんからかけられる言葉に対しても、普段は気づかない優しさが身に染みます。患者である私もモニター画面に映る自分の胃を見ながら行った検査でしたが、「胃の膨らみもよくて、潰瘍もありません。大丈夫ですよ」との診断でした。
検査が終わった直後から、すっかり晴れた気持ちになりました。あの胃のあたりの重苦しさがまったくなくなって、いつもの元気な白衣の自分に戻れたのです。
家に帰って、夕食をたくさんとる私に妻が言いました。
「心配させて……。お父さんは、検査の結果がいいと症状はすぐなくなるのよね。医者じゃないみたい」
がんと向き合い生きていく