がんと向き合い生きていく

<2>検査を受けて晴れ晴れとした気持ちになれた

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 がんによる症状というのは、その部位によって異なります。一般的には、肺がんは血痰、咳、食道がんは食べ物がつっかかる、大腸がんは血便、乳がんでは乳腺にしこり……などが挙げられますが、初期のがんでは症状がない場合が多いのです。やはり、早く見つけて、早い処置をして、完全にそのがんを消失させることが大切です。

 しかも初期なら、場所によっては内視鏡で切除、手術となっても一般的には軽く、手術後の抗がん剤治療や放射線治療を必要としないことが多いため、長い間、苦労しなくて済むといえます。

 早めにがんが見つかることで、早く治癒する可能性が高くなります。病院にかかる時間と費用も少なくて済むわけです。ですから、症状はなくとも検診を受けるべきです。

 ただ、日本での検診率は30~40%と低く(がん種によって違います)、キャンペーンをしてもなかなか増えていません。医療制度の違いもあると思いますが、アメリカやイギリスなどでは乳がん・子宮がん検診率は70%以上にも及びます。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。