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精神系医師の人数 京都は乙訓医療圏で全体の72%を占める

祇園枝垂桜
祇園枝垂桜 (C)日刊ゲンダイ

 関西圏(大阪府・京都府・兵庫県)の「人口当たりの精神系(精神科・心療内科)の医師数」は、ほぼ全国並み(人口1万人当たり1.27人)に収まっています。京都府がもっとも多い1.43人(47都道府県中19位)、大阪府が1.22人(25位)、兵庫県がやや少なく1.11人(35位)です。

 2次医療圏別では表のようになっています。

 精神系医師数が際立って多い医療圏は見当たりません。しかし地域差はそれなりにあります。トップの泉州医療圏には、精神科病院が13施設(大阪府全体では39施設)も集中しているのです。3位の三島医療圏も6病院を持っています。精神科病院には必ず精神系の医師が相当数、勤務していますから、人口当たりの人数が多いのもうなずけます。

 一方、少ないほうの6位には大阪市がランクインしています。実は市内に精神科病院は1施設しかありません。精神科病院は土地が安く静かな郊外に建てられる傾向がありますが、さすがにこれは極端です。精神系医師の大半は、診療所で働いているわけです。

 多いほうの2位の京都・乙訓医療圏は、精神科病院が8施設。総合病院の精神科なども加えると、精神病床(精神疾患の患者専用の入院病床)が4601床もあります。これは京都府全体の精神病床(6386床)の実に72%にも達するのです。そのため、他の2次医療圏の精神系医療が手薄になっています。南丹、丹後、山城南の医療圏には精神科病院がまったくないうえに、精神病床もゼロ。入院が必要な患者は、京都市や舞鶴市などの病院を目指すしかありません。

■阪神北に病院は集中

 兵庫県の阪神地域も精神系医師が少なめな地域です。大阪や神戸のベッドタウンとして、高級住宅街を含む閑静な住宅街が続いている地域。そういう土地には精神科病院が建ちにくい傾向にあります。しかし、阪神北には4病院、阪神南にも2病院。しかも精神病床もかなりの数があるのです。それでも、この地で働いている精神系医師が少なめなのは、精神科・心療内科を開業する人が少ないということでしょう。

 播磨地域も同様で、精神科病院や精神病床はそれなりに用意されているのですが、開業医が少ないため、全体として精神系医師が少なめになっているようです。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。