インフルもOK 病欠の収入をカバーする傷病手当の基本

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 インフルエンザが流行している。冬は、脳卒中や心筋梗塞も多発する。何かと医療費がかかる時季だ。万が一のために民間の医療保険で備える人は多いが、意外と侮れないのが公的な健康保険で賄われる傷病手当金だ。利用しない手はない。経済ジャーナリストの荻原博子氏が言う。

「業務中のケガや病気は労災でカバーするのに対し、傷病手当金は業務外の病気やケガで仕事ができない人の給与を健康保険でカバーするものです。4日以上休んだ場合、休んだ分の給与の3分の2が支払われます。心筋梗塞や脳卒中はもちろん、インフルエンザやうつ病も対象なので、会社員は覚えておくべきです」

 では、金曜日の夜に発熱し、土曜日の朝、受診してインフルと判明。その日から翌週の日曜日まで9日間休んだとする。平日の病欠は5日だが、傷病手当金の計算方法はどうなるか?

 まずポイントは給与の支払いがないこと。転職直後の試用期間などで有給休暇がなければクリアとなる。もう一つは3日間の待期期間(カウントされない日数)があることだ。これは土日も含まれ、最初の3日分は傷病手当から除外される。よって、残りの6日分が対象になる。

 そして「標準報酬月額を30で割った標準報酬日額の3分の2に日数を掛けたものが傷病手当金になります」(荻原氏)。

 標準報酬月額が30万円なら日額1万円。その3分の2の6667円が1日分だから、6日で4万2円。一般的な会社員ならインフルエンザの時は、有給休暇や病気休暇が使われるはずだが、がんや心筋梗塞などで長期離脱が余儀なくされ収入がストップするケースを考えれば頼もしい制度だ。

「毎月の医療費負担を一定額に抑える高額療養費制度を活用すると、たとえ1カ月の医療費が100万円になっても一般的な年収のサラリーマンなら毎月8万円程度の負担で済みます。これと傷病手当制度を活用すれば、民間の手厚い保険に頼る必要はありません」(荻原氏)

 申請漏れが多いといわれるだけに要チェックだ。