天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

冬場の便秘に悩む高血圧の人は花粉症になりにくい可能性

順天堂大学の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 甲状腺機能が活発になると、甲状腺ホルモンの分泌量が過剰になります。すると、副腎髄質ホルモン「カテコラミン」の受容体の感受性が高まって作用を増強するといわれています。カテコラミンは、カテコールアミンとも呼ばれる副腎髄質ホルモンで、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンといった神経伝達物質の総称です。心拍数を増加させて血圧を上げたり、血糖値を上げるなどして、ストレスに立ち向かう態勢を整える働きがあります。また、腸管にも収縮作用を示すため、必ずと言っていいほど便秘します。同時に血管に作用して収縮させる働きもあることから、花粉症の症状を引き起こす目や鼻の粘膜で充血がコントロールされ、症状を抑えるのではないかと私は考えています。

■カテコラミンが影響する

 実際、その年に「もう花粉症は治ったのかな」と思っていたら、甲状腺機能をきちんとコントロールできていた翌年は、しっかり花粉症の症状が表れました。これは自分自身で人体実験をしたようなもので、もちろん“教科書”には載っていません。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。