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【反回神経麻痺】東邦大学医療センター大森病院・耳鼻咽喉科(東京都大田区)

東邦大学医療センター大森病院の松島康二医師(提供写真)

 声は、左右2つの声帯が触れあって振動することで音を出している。反回神経麻痺を生じると片側の声帯が動かなくなる。声帯内注入術は、その動かなくなった声帯に物質を注入して膨らませ、もう片方の動く声帯と触れやすいようにさせる治療法だ。

■2つの術式を同時に併用できる

 一方、外科手術は頚部を切開して、動かなくなった声帯を発声・嚥下時の位置に移動させる、「披裂軟骨内転術」と、声帯を外から押して膨らませる「甲状軟骨形成術Ⅰ型」の2つの手術がある。これらは「喉頭形成術」と総称される。

「通常、声を出すときには披裂軟骨が内転して、声帯を中央に移動させます。披裂軟骨内転術は、麻痺した片側の声帯が付着している披裂軟骨を内転させて固定する手術です。甲状軟骨形成術は、麻痺で痩せてしまった声帯を外側から押して膨らまして中央に寄せる手術になります」

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