がんと向き合い生きていく

「ステージ4」でも長く生きられる患者はたくさんいる

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

「○○がんです。ステージ4で治癒するのは難しいです」

「ステージ4」とは、がんが発生した場所以外に遠く離れた場所へ転移している場合につけられる病期です。ですから、さらに病気が進み、積極的な治療ができない状態となれば「末期がん」と呼ばれ、命に関わります。ただ、がんの種類によって、または同じがんでも、がん組織の悪性度によっては進行や病状が異なります。とても早く進むがんもあり、進行がゆっくりしたものもあります。つまり、「ステージ4」だからといって、すべての患者さんの命が短いというわけではないのです。

 効果的な薬も少なかった20年以上前のことですが、大腸がんが肝、肺、脳に転移したものの、そのたびに手術で切除し、8年以上生きられた方もいらっしゃいます。今は有効な薬剤がたくさん出現し、放射線治療も進歩しています。「大腸がんステージ4」と診断されても、5年以上生きられる患者さんはたくさんおられるのです。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。