■ある医師の一言が命を救ってくれた
どんどん状態が悪化する中、午後一番で開腹手術をする話が進み、家族は同意書にサインもしていました。でも、朝一番で到着したその医師が「念のために胃カメラをのみましょう」と言ってくれて、その検査結果が私の命を救ってくれたのです。まだ若そうな医師でしたが、判断は間違っていませんでした。
病名は「特発性重症急性膵炎」でした。急性膵炎は飲酒と胆石が2大原因ですが、そのどちらでもなく原因不明なのが特発性。私の場合、膵臓がパンクして壊死してしまい、膵液によって周囲の臓器にもダメージを与える致死率の高い重症例でした。特に肺がひどく、呼吸がしづらくなって血圧が次第に下がってしまいました。「3日間がヤマ」と言われたのはこのときです。あとでうかがったお話では、もしあのまま開腹手術をしていたら助からなかったかもしれないとのことでした。
独白 愉快な“病人”たち