呼吸がしづらくなって、肺が十分な酸素を血液に取り込めなくなると、心臓から肺に流れる血流が制限されます。心臓は肺に血液を送るためにそれだけ大きな力が必要になり、負担が増えるのです。特に、不整脈が出やすくなります。
また、花粉症の患者さんは睡眠時無呼吸症候群(SAS)にかかりやすくなります。夜、寝ている間に何回も呼吸が止まる病気で、低酸素状態を繰り返したり、交感神経を活性化させることなどによって、心臓、脳、血管に大きな負担がかかります。そのため、SASがあると、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞といった重大な合併症や、高血圧、心房細動が起こりやすくなるのです。
■生体リズムの乱れやストレスも悪影響
呼吸だけでなく、花粉症によって免疫力や抵抗力が低下したり、花粉症の症状でストレスを感じていると、自律神経のバランスが崩れやすくなります。人間は、交感神経が興奮すると心拍数が増加したり、血圧が上昇します。反対に副交感神経が興奮すると心拍数が減少し、末梢血管が拡張します。自律神経である交感神経と副交感神経が互いにバランスをとって、循環器をコントロールしているのです。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」