医学の進歩に伴い看護師が行う看護法も大きく変わった。そこで先週に続いて、関西圏の民間病院の看護部長に一般人でも知っておいた方がいい話を聞いた。
●厚さ2ミリ以上の衣服に腕帯を巻いての血圧測定
病院によっては“袖をまくってください”と言われる場合と“服の上から測ります”と言われる場合がある。そのため、どちらでもいいと考えている人がいるがどうなのか?
「正確な血圧は衣服の厚みが2ミリ程度なら可能と考えられています。健康な成人40人を対象に、裸腕を含めてさまざまな衣服の上から自動血圧計を使って計測した研究があります。それによると、ワイシャツの上に約2ミリ程度の薄いセーターを着た状態までなら、裸腕と変わらない測定値だったことが報告されています」
同様な研究は他にもあって、厚さ2ミリ以内の衣服の上からなら、裸腕と変わらないことがわかっている。
「ただし、高血圧の人を対象とした研究では測定値の幅が大きかったことから、裸腕で計測することが大切です」
●舌苔除去のためのブラッシング
高齢者の看護では口腔ケアが重要だ。そのため看護師は舌苔の清掃を行うが、一気に取ってはいけないといわれる。なぜか。
「舌苔とは舌の表面に食べ物の残りカスや舌のはがれた上皮細胞が付着した結果、作られる細菌の塊です。これが多くなると口臭や味覚異常の原因になります。しかし、舌の表面には味覚のセンサーとなる味蕾が無数にあります。舌苔を一気に取ろうとして歯ブラシなどで強くブラッシングすると、舌の粘膜や味蕾を傷つけ、細菌繁殖を助長させたり味覚を鈍らせる可能性があります」
そもそも舌苔は誰にでも付着するもの。よく噛んで食べて規則正しい生活をしている健康な人は、基本的に除去する必要はないという。
●血液サラサラの薬を飲んでいる人は納豆は厳禁
「以前はそう教えられてきましたが、最近開発された新規経口抗凝固薬では、納豆を食べてもいいものがあるようです」
そもそも血液サラサラの薬を飲む人は納豆厳禁というのは、抗凝固剤として長年使われているワーファリンのイメージがあるからだ。
「血液凝固に関わるプロトロンビンは、ビタミンKによって活性化されます。ワーファリンはビタミンKと拮抗することよってプロトロンビン産生を抑え、血液が固まるのを阻害する薬です。ですからワーファリンを飲んでいる人は、ビタミンKを多く含む納豆を食べてはいけないのです」
ところが、最近の血液サラサラの薬の中には、ビタミンKの代謝と直接関係しないものがある。
「どの薬なら納豆が食べられるのか。薬剤師さんや看護師に聞くといいでしょう」
あの話題の治療法 どうなった?