Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【渡瀬恒彦さんのケース】難治性胆のうがんでも“ぴんぴんコロリ”

胆のうがんで闘病中の渡瀬恒彦さん(C)日刊ゲンダイ

 がんが進行したケースでは、「何もしない」選択がベストなこともあります。その方が、あまり体力を落とすことなく、亡くなる直前まで仕事ができることが少なくないのです。

 そんな治療法を選択していれば、たとえ末期がんでも、亡くなる2、3週間前まで寝たきりになるようなことはまれです。その意味では、がんは“ぴんぴんコロリの病気”といえるでしょう。渡瀬さんのがん報道に触れ、ふと大沢さんのことを思い出しました。

 渡瀬さんは、家庭や仕事を軸にして、そこに支障がないように治療法を選択されているのだと思われます。何もしていないわけではないですが、無理な治療をされてはいないのでしょう。これから撮影が始まるドラマに今後も継続的に出演したいか問われると、「生きていれば!」と宣言していることからも、生きることに前向きで、そんな姿勢が見て取れるのではないでしょうか。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。