がん患者の10%が発症 「転移性脳腫瘍」の最新治療事情

2人に1人が、がんになる時代(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 近年、転移性脳腫瘍の治療の選択肢が増えつつある。NTT東日本関東病院ガンマナイフセンター長の赤羽敦也医師に聞いた。

 1月末、俳優の松方弘樹さんは脳腫瘍の一種である脳リンパ腫により亡くなった。74歳だった。正確には「中枢神経系原発悪性リンパ腫」という病気で、臓器自体の病変によって引き起こされる原発性疾患だった。それに対し、「転移性脳腫瘍」は、脳以外にできたがんの遠隔転移によって起こる。がん患者の約10%が発症するといわれている。

 ただし、すべてのがんに転移性脳腫瘍のリスクがあるのではなく、がんの中でも転移性脳腫瘍を起こしやすいものがある。トップが肺がんで、ずっと数は少なくなるが、乳がんや直腸がんが続く。

 遠隔転移なので、がんのレベルとしてはステージ4に該当する。患者には絶望的な気持ちを抱く人も多い。

 しかし、赤羽医師は「転移性脳腫瘍は必ずしも『終着駅』ではない」と話す。転移性脳腫瘍の治療を受けながら10年以上生きている患者もいる。近年、大きく変わったのは、転移性脳腫瘍の状態に応じて、治療内容を選択できるようになったことだ。

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