看護師直伝 がん治療と笑顔で付き合う

「家族看護」を忘れがち

 同時に、家族の揺らぎは患者さんに伝わります。てんびんのような形を組み合わせた飾り「モビール」を想像すると分かりやすいかもしれません。

 患者さん、家族と区別するのではなく、家族というまとまりとしてケアを提供する考えがあり、これを「家族看護」と呼んでいます。この連載で、「自分だけが悩みを抱えないでほしい」と再三言っているのは、家族看護の重要さを毎日噛みしめているからです。

 昨今は家族の在り方がこれまでとは異なっている現状があります。血のつながった家族だけでなく、同じアパートの住人や友人、施設の責任者らがキーパーソンであることも少なくありません。

 同性パートナーシップの法的保障についても、各地域で検討が始まっています。血縁関係にとらわれず、患者さんにとっての「家族」を、誰もが積極的に考えていかなくてはいけない時代だと感じます。

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