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人口が増える県・減る県 秋田県は8年後、現在の87%に

東北、四国、山陰の減少が目立つ
東北、四国、山陰の減少が目立つ(C)日刊ゲンダイ

 今回は自治体の「人口の増減」を見ていくことにします。人口は医療と直接関係しない、人口よりも高齢化率のほうが重要という意見もあることでしょう。しかし、人口はあらゆる行政サービスの源です。

 人口が増えれば必然的に住民税や地方交付税が増え、住民のニーズに応じて病院の整備やワクチン接種の低額化・無料化などができるようになります。逆に人口が減ってしまうと、地元の病院が縮小されたり、場合によっては自治体そのものが周辺の市町村と合併という話になったりします。とくに国民健康保険や介護保険は市町村単位で運営されていますから、大きな影響が避けられません。

 ご存じのとおり、日本はいま人口減少に直面しています。国立社会保障・人口問題研究所によれば、団塊世代が後期高齢者になる2025年は、2015年と比べて約95.3%(1億2660万人→1億2066万人)にまで人口が減ると予想されています。つまり約600万人、現在の千葉県の人口に匹敵する人数が減ってしまうのです。

 ただし、減り方には地域差があります。〈表〉は各都道府県の2025年の推計人口が、2015年と比べて何%になるかをまとめたものです。沖縄県だけは、わずかながら人口が増えると予想されています。首都圏の各都県は緩やかに減少していきます。

■宮城を除く東北各県、四国、山陰などが厳しく

 しかし、東北地方の減少は急激です。秋田県の2015年の人口は約102万人ですが、2025年には約89万人になります。急激な人口減少は、いままで我々が経験したことのない新たな社会問題を突き付けてくることでしょう。

 日本全体で見ると、宮城県を除く東北各県、四国、山陰などが厳しい状況になりつつあります。その次が甲信越、北陸と、福岡県を除く九州全県です。

 鳥取県と島根県、高知県と徳島県は、参院選の1票の格差是正のために「合区」として統合されました。しかし、2025年ごろには山梨県、福井県、佐賀県などを巡って、さらなる対策が必要になりそうです。

 大都市を擁する都道府県は比較的安泰です。首都圏以外では愛知県が人口をなんとか維持できそうです。関西では滋賀県が大健闘しています。近年、京都や大阪のベッドタウンとして、多くの移住者を集めているためです。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。