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川崎市は全区で人口増加も 千葉の太平洋側は10年後に1割減

人口が増える自治体・減る自治体(首都圏)、写真は南房総
人口が増える自治体・減る自治体(首都圏)、写真は南房総/(C)日刊ゲンダイ

 首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)の人口は減っていきますが、その減少率はわずかです。2025年の人口は、対2015年比で96~99%で、ほとんど変わりません。市区別に見れば、増えていく自治体もあります。〈表〉は増える自治体トップ10と、減る自治体ワースト10をまとめたものです。東京23区、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市といった大都市では人口増、ないし現在の人口がほぼ維持される見込みです。ただ田舎に行くにつれて、状況は悪化していきます。

 人口減少が最も厳しいのは千葉県銚子市や南房総市など、太平洋に面した自治体です。ほとんどの市が10年後にはいまの人口から10%以上を失うことになります。しかし浦安市から市原市に至る千葉・葛南地域や、埼玉県と接する東葛飾地域の人口が微増ないし現状維持のため、県全体としての減少率は低く抑えられています。

 埼玉県では北部と秩父地方が厳しくなってきます。ただ、さいたま市など南部の主だった市は微増ないし現状維持。県全体でもあまり減らずに済みそうです。

 人口が増えるほうでは、横浜市都筑区がトップで、2025年までに8.5%増と予想されています。横浜市全体では約1%の減少となります。また、川崎市は2.3%増。こちらはすべての区で増える予想になっています。

 東京は23区のうち5区で人口増、しかし足立区(93.5%)、葛飾区(94.1%)、杉並区(95.7%)、北区(95.7%)などでは減少が目立ってきます。消滅説がささやかれている豊島区は97.4%ですから、2025年の時点ではまだかなり余裕があります。

 都下の多くの市も現状維持ないし数%の減少で済みそうです。ただ、東京都の中では最も出生率が高い羽村市や東村山市なども、4~5%の人口減と予想されています。西東京や奥多摩地域は危機的です。〈表〉には載せていませんが、奥多摩町は75.3%、桧原村が78.5%、青梅市が92.2%という数字になっています。

 首都圏の人口は、都心を中心に増加ないし現状維持が続きますが、周辺地域で急速に減少が進んでいくわけです。そのため周辺地域の医療・介護サービスも、質量ともかなり変わることが予想されます。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。