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救急救命士の業務は拡大できるのか?

救命救急士が行える行為には制限がある(C)日刊ゲンダイ

 病気というと医師や看護師ばかりに注目が集まるが、いざというときに頼りになるのが救急車に同乗する救急救命隊員だ。

 総務省がまとめた平成27年の救急出動件数は605万件余り、搬送人員は546万5000人と過去最高で、その数は増えるばかり。

 ところが、その救急救命士が行える医療行為には制限がある。救命救急士法で定められた特定行為(医師の許可が必要な医療行為)は、静脈路の確保、医療器具を使った気道確保、薬剤投与、心肺停止前の重症者に対する静脈路確保と輸液、血糖値の測定並びに低血糖発作患者へのブドウ糖溶液の投与などだ。

 そのため、一刻を争う医療現場でありながらも、特定行為の定めにより適切な応急処置がとれない場合もある。いまの制度の下では医師の指示を受けずに特定行為を行えば救急救命士法違反に問われてしまう。

 そんな中、総務省消防庁の「救急業務のあり方に関する検討会」が21日に医師・医療機関と救急隊との役割の明確化などを求める報告書案を了承したという。内容は救急救命士が医師の指導の下で行う特定行為について、大規模災害時にはその指示なしでも救急救命士の判断で行えるケースはどんなときか、その条件や見解を提示したという。

 過去に例のなかった大型の地震や台風などの自然災害が相次ぐ中、医師以外の人の医療行為についてのルールづくりを行うのは当然だ。医師不足を嘆く前に、医療の分業についても考えていくべきではないか。