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東海圏の人工 岐阜県はこの先10年で人口の1割を失う

リニアが人口増をもたらすか
リニアが人口増をもたらすか(C)日刊ゲンダイ

 東海圏(愛知県・岐阜県・三重県)の人口推計は、首都圏や関西圏と同じ傾向を示しています。最大都市である名古屋市周辺の人口が増加ないし現状維持、離れるにつれて減少率が上がっていきます。

 とくに、三重県の伊勢市以南の人口減少が厳しいとされています。尾鷲市や熊野市は、市制を維持するために合併が必要になるかもしれません。鳥羽市も安泰ではありません。鳥羽市の人口は2015年時点で約1万9800人、これが2025年には1万6900人に減ってしまいます。隣接する伊勢市か志摩市に吸収合併される可能性を否定できません。

 岐阜県では北部で人口が減っていきます。風光明媚で観光資源も豊富な地域ですが、ここに移り住もうとまで思う人は、あまりいないようです。また、東濃地域(恵那市など)と西濃南部(海津市など)も厳しい予想になっています。各自治体は、この先10年間で人口の1割を失うことになりそうです。

■リニア効果で予想にズレが起こる可能性

 愛知県では東三河の北部一帯(新城市など)が深刻です。〈表〉には載せていませんが、愛知県東栄町が76.5%で、東海エリアのワースト1位になっています。東栄町の人口は、10年で4分の3に減ってしまうことになります。

 人口が増えるのは長久手市、日進市、みよし市など名古屋市の東側に隣接するエリアです。名古屋市内では緑区、守山区などで人口が増える予想になっています。

 その他の区も安定した数字を示しており、名古屋市全体では98.2%となっています。リニア新幹線(2027年開業予定)の効果で、名古屋駅周辺の再開発が急速に進んでいるため、人口増に転じるかもしれません。

 岐阜県では、岐阜市から大垣市までの東海道線沿線が比較的安定しています。このエリアも、リニア効果などで人口が増える可能性があります。とくに岐阜市は名古屋駅までJRで20分という好条件に恵まれているため、最近では複数の高層マンションを含む駅前の再開発計画が浮上しているようです。

 三重県は鈴鹿市、亀山市以北で、人口が維持される見込みです。やはりリニア効果により、名古屋に近い桑名市や四日市市の人口が好転する可能性も残されています。リニアは東海圏の救世主になるかもしれません。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。