「認知症」を知るための20週間

密接に関係する4つの病気 メタボ対策だけで認知症は防げる

ダイエットも大切
ダイエットも大切(C)日刊ゲンダイ

 認知症は、予備群を含めると2012年時点で860万人に上る。すでに1000万人を突破したと推測する専門家もいる。2025年には、高齢者の3人に1人が認知症とされる。近い将来、自分が認知症になって、危険運転で事故を起こすかもしれない。

 厄介な認知症だが、実はいろいろな病気との関連性が分かっている。認知機能に詳しい白澤抗加齢医学研究所の白澤卓二所長が言う。

「認知症には、アルツハイマー型と血管性があります。アルツハイマー型は特殊なタンパク質が脳に蓄積し、その部分の機能を阻害する。血管性は脳出血や脳梗塞などを起こしたことで生じるタイプです。脳出血や脳梗塞を引き起こす病気といえば、糖尿病や高血圧ですから、これらが血管性認知症の2大危険因子なのです」

 医学専門誌「ランセット」には、認知症のリスクとして7つの病気や生活がリストアップされていて、糖尿病と高血圧はそこにもちゃんと含まれている。たとえば、糖尿病の人は、そうでない人に比べて4.6倍も認知症になりやすい。

「もう一つの病気がうつ病です。うつ病による引きこもった生活はメタボ化を助長して、脳卒中のリスクになる。病気ではありませんが、肥満も7大リスクに含まれます。つまり、メタボを予防することが、社会問題の認知症予防にもなるということです」(白澤氏)

 糖尿病も高血圧も、治療を受けているのは半分程度で、そのうち血糖値や血圧が十分下がっている人は半分ほど。どちらも、4人に3人は治療が不十分なのが実態。

「自覚症状がないから、今は受診しなくてもいいだろう」という甘い考えが、じわじわと脳の血管にダメージを与え、知らず知らずのうちに認知症を引き寄せるのだ。

 一方で、“低い血圧は認知症のリスク”といった見方もある。それが事実なら、厳格な高血圧の治療は認知症予防の点でよくないことになるが、どうなのか。東京都健康長寿医療センター顧問・桑島巌氏(循環器内科)が言う。

「低血圧が認知症リスクになるという見方があったのは事実ですが、今では完全に否定されています。認知症予防のためにも、高血圧は放置せず、しっかり治療して、上の血圧を120~130mmHg台にキープすることです」

 食事や運動の改善が必要なのは言わずもがな。「親の言動がちょっと怪しい」と感じた人は、今のうちにメタボ対策を続けることが、自分の認知症対策になるのだ。