有名病院 この診療科のイチ押し治療

【血友病】荻窪病院・血液科(東京都杉並区)

東京医科大学の鈴木隆史医師(左)と荻窪病院の診察風景(C)日刊ゲンダイ

■患者のトータルケアを実践

 治療は、昔は出血したときに不足する凝固因子を病院で注射していたが、1983年から自己注射が認められ、いまでは出血を事前に予防するために、患者や親が自宅で定期的に静脈注射する「定期補充療法」が一般的だ。

 1回の注射は2.5~5㏄。従来の薬剤で最も多く使われている投与回数は、血友病Aが週3回、血友病Bが週2回。ただし、薬の半減期(持続時間)は個人差が大きく、年齢や体重などの影響も受ける。薬の選択や頻度は、個々の患者ごとに判断する必要があるという。

「いまは薬が進歩して、長時間作用型製剤も出ています。血友病Aでは従来より1・5倍程度延長しており、注射は週2回で、血友病Bでは4~5倍延び、週1回、あるいは2週に1回の注射で済む場合もあります」

 また、患者数が多い同科では最新治療の臨床試験が常に行われている。条件がクリアできれば治験の参加も可能だ。近年注目されているのは、すでに欧米で治験が進められている血友病Bの遺伝子治療だ。これは1回の点滴注射で5~10年、出血しないで過ごせる可能性があるといわれている。遠くない将来、日本でも治験が導入される可能性があるという。

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