看護師直伝 がん治療と笑顔で付き合う

がんになる前に口のケアを

 皆さんは、口腔内の健康に、どれくらい気を使っていますか?

「口とがん、どういう関係があるの?」と疑問を抱かれた方もいるかもしれません。実は、がんの化学療法の副作用の一つに口内炎があり、治療前、いえ、それより遡った「がんになる前から」の口腔内のケアが、とても大切になってくるのです。

 口内炎は、口の中や舌の粘膜に炎症が起こる疾患です。抗がん剤を投与すると、骨髄抑制といって、白血球の一種である好中球が減少し、感染症にかかりやすくなります。この期間に口内炎も生じやすくなり、だいたい抗がん剤投与5~7日目あたりから出始め、14日目あたりまで続きます。

 口内炎はひどくなると、痛みで食事や会話に影響を及ぼします。少しでもその害を抑えるため、虫歯や歯周病がある方はその治療を済ませていただきますが、やはり口腔内の健康は長年のケアの積み重ねですので、日頃の歯磨きはもちろん、歯石の除去などを定期的に行っていることが重要になります。

 化学療法中も、口腔内のケアは不可欠です。吐き気などの副作用で食事が取れない時も細菌は増殖しますので、できる限り歯磨きなどを行ってもらいます。また、口の中が乾燥すると粘膜組織が傷つきやすくなります。うがいなどで乾燥を予防することが粘膜組織の保護につながります。

 化学療法中の歯ブラシは、ヘッドが小さく、毛が軟らかいナイロン製のものが使いやすいようです。がんでこれから化学療法を始める、という方は、ぜひ参考にしてください。