数字が語る医療の真実

大腸がん検診はお勧め

10~20年間に0.14%リスクを減らせる
10~20年間に0.14%リスクを減らせる(C)日刊ゲンダイ

 便潜血による「大腸がん検診」は、最も普及しているもののひとつでしょう。その背景には、苦痛なく簡便に行うことができ、「大腸がん死亡を減らす」という、複数の研究があるということが大きいように思います。

「がん検診に向いているがん」というものがあります。これまで取り上げてきた乳がんや前立腺がんは数十年をかけて進行するので、そもそもがん検診に向いていません。また1~2年で進行するようながんは、1~2年ごとの検診で対応するのは困難です。

 その意味では前立腺がんや乳がんより進行が速く、1~2年で急激に進行するわけでもない大腸がんは、最もがん検診に向いています。がん検診の効果を検討する前から、その効果が最も期待できそうながんなのです。

■10~20年間に0・14%リスクを減らせる

 そこで、実際の大腸がん検診の効果を見てみましょう。2011年に4つのランダム化比較試験を統合したメタアナリシスの論文として発表されています。45~80歳の健康な人を対象に「1~2年ごとの便に血が混じるかどうかの検査をするグループ」と「しないグループ」を比べて、大腸がんによる死亡がどれくらい少ないかを見たものです。

 それによると、検診により100の大腸がんが84に減る、多めに見積もると78まで減るかもしれない、少なめに見積もっても90くらいまでは減りそうだという結果です。実際の割合で見ると、10~20年間で1%の大腸がん死亡が0・86%に減るというところです。

 なんだ、大して減らないじゃないかと思われるかもしれませんが、この大腸がんは最もしっかりした研究で、それなりの効果が確認されているがん検診のひとつです。