クスリと正しく付き合う

「外用薬」だからとルーズに使っていませんか?

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 目薬や塗り薬といった外用薬は、使う薬の量を節約しすぎて余らせてしまいがちですが、適正に使用することで余らなくなります。外用薬は、内服薬や注射薬に比べて“身近”に感じるためか、消費期限や使用量に対する意識が低くなり、ルーズに使いがちになっている方も少なくないのではないでしょうか。

 これまで「外用薬であっても、使う量が少なすぎるのはよくない」というお話をしてきましたが、逆に「外用薬だから少々たくさん使ってもよいのではないか」と考えている患者さんも多いようです。しかし、外用薬といえども使い過ぎはよくない薬もありますので、注意が必要です。

 例えば、使い過ぎてはダメな点眼薬として、緑内障の治療薬のひとつである「β遮断薬」(チモプトール、ミケラン、リズモンTG、コソプトなど)に分類される薬が挙げられます。緑内障は年齢とともに罹患しやすくなり、40歳以上では20人に1人がかかる病気です。他人事とはいえません。

 緑内障は視野が狭くなり、かつては失明してしまう患者さんもたくさんいた難病でした。しかし、現在では手術や点眼薬での治療によって治る病気となってきました。そんな緑内障治療薬として使われているβ遮断薬は、「使い過ぎることで効果が弱くなってしまう」ことが知られています。

 とはいえ、使わなければ治療になりませんので、やはり点眼薬といえども薬は適正に使用しなくてはならない好例といえるでしょう。

 目の病気は命に関わらないからと軽視する患者さんもいらっしゃいますが、目が見えない、もしくは視力が急激に低下するというのは、QOL(生活の質)が著しく低下します。治療薬は正しく使い、できる限りの対策をすべきです。

神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。