■死と縁遠くなった若者たち
ところが年齢調整を行って高齢化の影響を取り除くと、死亡率は165.3に下がってしまうのです。つまり、がんで亡くなっているのは高齢者ばかりで、現役世代や若年者のがん死はかなり減ってきている、ということなのです。
「心疾患」ではこれがさらに顕著になります。単純な死亡率(男性)は1985年が146.9、2015年では151.0と、若干上がっているのですが、年齢調整を行うと、たったの65.4に下がってしまいます。やはり心疾患で亡くなるのは高齢者ばかり、という構図が見えてきます。
「脳血管疾患」に至っては、もっと極端な数字になっています。単純な死亡率でも下がってきているのに、年齢調整を行うと、1985年と比べて男女とも4分の1程度になります。若くして脳卒中で亡くなる人は、著しく減ったということです。
「多死社会」時代に死を学ぶ