病院は本日も大騒ぎ

入院中もお酒が飲みたい

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 看護師になって20年。現在、関東圏の総合病院に勤務しているマサヨです。ベッドが200床にもなりますと、毎月、亡くなる入院患者さんがおられます。

 私も何度か患者さんをみとりましたが、亡くなるときに、いろんなドラマを見せられますね。

 ベッドを囲んでいる家族が、号泣している姿をよく見ます。また、まだ生きているのに、家族が枕元で葬儀の相談や、遺産相続の話を始めるなどさまざまですね。

■隠れて飲む人

 そんな殺伐とした人間模様のなかでホッとするのは患者さんとのお酒にまつわる攻防です。

 一度こんなことがありました。病院は禁煙ですし、アルコール類の持ち込みも禁止です。でも、よほど酒好きなのでしょう、酒を醤油瓶に入れて持ち込んだ入院患者さんがおりました(笑い)。

 夜間、隠れて飲んでいたようですが、飲んでいる現場を押さえることができません。ただ、飲酒は間違いありません。かすかに酒のにおいを残しているからです。

 当然私は「もし今度持ち込んだら、担当の先生に知らせますからね」と、やんわりと忠告をしました。

 その後、この患者さんは強めの口臭剤を使用するようになっています。

■堂々と飲める人

 また、いつも「一杯飲みたいなあ」とささやいていた長期入院の患者さんがおりました。

 終末を迎えているがん患者さんで、もう余命がいくばくもなかったのです。

 本人も死を迎えることに気が付いていたのでしょう。かすれた声で、遺言のように、「一杯飲みたい」とつぶやき、舌で唇をなめておられました。

「元気になったらいくらでも飲めますよ!」と、励ましながら、担当医師と相談し、日本酒をコップに少しついで枕元に持っていきました。においをかいで、すぐ酒と分かったのでしょうね。

 血の気のない青白い顔に、ニコッと笑顔を見せましたので、コップの縁を口元につけてあげました。でも、飲める体力はもうありません。その数日後、天国に旅立たれました。