天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

海外旅行を楽しむなら「3つの薬」を持参すべき

順天堂大学医学部の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 一番重要なのが①「抗血小板薬/抗凝固薬」です。どちらも血液をサラサラにする薬で、血栓ができるのを防ぎます。前者はアスピリン、後者はワーファリンが知られています。狭心症、心筋梗塞、心房細動の治療を受けている人や、弁膜症で人工弁置換術を受けた患者さんにとっては、欠かせない薬です。

 仮に現地で薬がなくなってしまうと、危険な状態に見舞われる可能性もあるので、血液サラサラ系の薬は忘れずに持参してください。

 2番目に挙がるのが血圧を下げる②「降圧剤」です。高血圧は、心筋梗塞、心不全、不整脈、大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症といった心臓疾患の大きな危険因子です。海外では環境が大きく変わって血圧も変動しやすくなるので、しっかりコントロールすることが重要になります。

 3番目は、血糖やコレステロールを下げる③「代謝を改善させる薬」です。高血圧と並んで、高血糖、高コレステロールは、心臓疾患の重大な危険因子です。旅先で心臓疾患が発症したり、悪化させないためには、やはりきちんと薬を飲む必要があります。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。